食欲が乱れるのは、あなたのせいじゃない
「最近、食べすぎてしまう」
「全然、食欲がわかない」
そんな“食のゆらぎ”に戸惑ったことはありませんか?
「食べすぎは意思が弱いから?」
「食べられないのは甘えなの?」
そうやって、自分を責めてしまう方も少なくありません。
でも、ちょっと立ち止まって考えてみてほしいのです。
それはあなたが悪いわけではなく、
心と体ががんばってきたサインです。

ストレスと自律神経、そして食欲の関係
実は、ストレスが強くかかると
「自律神経のバランス」が乱れやすくなります。
自律神経には「交感神経」と「副交感神経」があり、
この2つがうまくバランスをとることで、
私たちの体は安定しています。
でも、仕事や人間関係のストレス、環境の変化などで
緊張状態が続くと、
交感神経が優位になりすぎてしまいます。
その結果どうなるかというと──
● 胃腸の働きが落ち、食べ物を受けつけにくくなったり
(→食欲不振)
● 脳が「安心したい」と思い、手軽に満たされる食を求めたり
(→過食)
同じストレスでも、人によって出方が違うのはこのためです。
「おかしいのは私」ではなく、「今、疲れてるだけ」
つまり、
食欲の増減は「心身の疲れ」が体に表れた自然な反応
なんです。
食欲不振も食欲増進も、
「心と体がなんとかやりくりしようとしている証拠」。
悪いことではありません。
だからまずは、
「今の私、ちょっとバランス崩してるのかもな」と
やさしく気づいてあげることが、第一歩です。
自分を知るための、やさしい習慣
気持ちの波と食欲の関係に気づくために、
・いつ、どんな気分のときに食欲が変わるか
・その前に何があったか
などを、メモや日記に軽く残してみるのもおすすめです。
心と体のつながりが見えてくると、
少しずつ不安がやわらぎます。
医療機関の受診も、自分を守る行動
ただし、
・何日もほとんど食べられない
・食べても止まらず、苦しくなるまで食べてしまう
・気持ちが落ち込み、何もする気が起きない
そんなときは、
医療機関で相談することをためらわないでください。
心療内科や内科では、食欲や気分の変化を含めて、
心と体の状態を一緒に見てもらうことができます。
早めのケアは、あなた自身を守ることにつながります。
食欲は、心のバロメーター
食べることは、生きることにつながる大切な営み。
だからこそ、
食欲のゆらぎは、心の声に気づくチャンスでもあります。
「ちゃんと食べなきゃ」
「我慢しなきゃ」
と自分にムチを打つのではなく、
「今、疲れているんだな」
「少しペースをゆるめよう」
そんなふうに、自分にやさしく声をかけてみてくださいね。
次回は、「食べられない」と感じている方へのヒントをお届けします。
「食べられない…食べ過ぎてしまう…そんなあなたへ【1】自律神経から見る心と食欲の関係vol.89」へのコメント
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