目次
- 1 1 愛着障害とは
- 2 1-1 愛着とは
- 3 1-2 愛着の役割
- 4 ①人への信頼感を芽生えさせる
- 5 ②コミュニケーション能力を向上させる
- 6 ③積極的に生きる力を向上させる
- 7 1-3 愛着障害とは
- 8 愛着障害の原因
- 9 2 子どもの愛着障害
- 10 ①反応性愛着障害
- 11 ②脱抑制性型愛着障害
- 12 3 大人の愛着障害
- 13 3-1 愛着スタイル
- 14 ①安定型
- 15 ②不安型
- 16 ③回避型
- 17 ④恐れ・回避型
- 18 3-2 大人の愛着障害の特徴
- 19 対人面の特徴
- 20 情緒面の特徴
- 21 アイデンティティ(自己)の確立における特徴
- 22 4 「大人の愛着障害かも」と思ったら
- 23 ①早めに医師やカウンセラーに相談
- 24 ②心の「安全基地」をつくる
- 25 ③困りごとを整理する
- 26 ④無理しない
- 27 5 大人の愛着障害のまとめ
「人生好転!プライオリティカウンセリング」の坂梨禾森(さかなし かりん)です。
人との関係を築くことが苦手だなぁと悩む方へ
もしかしたら、それは、
「愛着障害」のせいかもしれません。
今回は、「愛着障害」について解説します。
1 愛着障害とは
自分が「愛着障害」かもしれないと聞くと、
辛いと思われるかもしれませんが、
安心してください。
かつては、「子どもに見られる症状」と
されていましたが、
大人になってから悩んでいる方も、
たくさんいらっしゃいます。
でも、心配しないでください。
克服するための対処法はあります。
そして、実は、
芸術家や政治家、ビジネスの領域など
さまざまな分野で、
偉大な業績を残した人の中には、
愛着障害を抱え、
それを乗り越えてきたという例が
少なくありません。
愛着障害を自分の個性として理解し、
対処法を学べば、
生きる原動力にもなり得るのです。
1-1 愛着とは
愛着とは、
「人と人との間の心理的な絆」です。
生まれてすぐの子どもは、
1人では生きていけません。
身の周りの世話をして育ててくれる人
=「養育者」がいることで生き延びます。
特定の養育者に、
適切な世話をしてもらうことで、
子どもはその養育者との間に
「愛着」を感じるようになります。
乳幼児期に育まれた「愛着の絆」は、
人生を通して、
人への信頼感や
心理的な安心感を得るための土台
となります。
1-2 愛着の役割
「愛着」は、子どもの成長に、
大きな役割を果たします。
大きく3つの役割があります。
①人への信頼感を芽生えさせる
子どもは、「愛着」を築いた養育者に、
甘え、依存するようになります。
養育者に甘える → 受け入れられる
というやりとりの繰り返しを通して、
人と関わる楽しさや喜びを体験し、
人への信頼感が芽生えます。
②コミュニケーション能力を向上させる
「愛着」を形成した相手に対して、
自分の要求を伝える、
相手の要求を受け入れることを
通して、子どもは、
自己表現・コミュニケーションの
楽しさや難しさを知ります。
それは、
自己表現力・コミュニケーション能力の向上に繋がります。
③積極的に生きる力を向上させる
子どもは、成長するにしたがって
自分の世界を広げていきます。
そのときに必要なのが「安全基地」です。
「安全基地」とは、
見知らぬ世界に出るとき、
不安や危険を感じたときに戻る拠り所です。
子どもは、「愛着」を形成した養育者を
「安全基地」として、
不安や危険を感じたら、そこに戻り、
安心と安全を感じては、再び、
自分の世界を広げていきます。
このような探索と避難を繰り返し、
子どもは、
好奇心や積極性、
ストレスに耐える力、
生きる力を身につけていきます。
1-3 愛着障害とは
「愛着障害」とは、
特定の養育者との心理的絆=「愛着」が、
何らかの理由で作られず、
子どもの情緒や対人関係に問題が生じる状態のことを表します。
愛着障害の原因
子どもが愛着障害になる原因は、
養育者とのコミュニケーションの行き違いや
心身に負担のかかる環境で育つことが
挙げられます。
☑両親の離婚
☑養育者との死別、別離
☑養育者の頻繁な交替
☑養育者のネグレクト、無関心
☑虐待・体罰・厳しすぎるしつけ
☑きょうだいとの差別、極端な比較
☑褒められる体験の欠如
虐待やネグレクトは勿論、
過保護も原因となります。
子どもが求めるときに
適切にこたえてあげることが
養育者には求められます。
かつては、特殊で悲惨な家庭環境のためと
考えられていましたが、
今では、ごく一般的な家庭であっても、
起こりうる問題
であると認識されています。
2 子どもの愛着障害
子どもの愛着障害は、5歳までに発症し、
「反応性愛着障害」と「脱抑制性型愛着障害」に分類されます。
発達障害と間違われることもあります。
共通してみられる特徴は、
☑自傷行為(髪を抜く、爪を噛む)
☑他害行為
☑大人を試すような言動
☑睡眠不足
☑食事をしっかり食べない
☑理由なしにウソをつく
☑体調不良になりがち などです。
①反応性愛着障害
「反応性愛着障害」の場合、
他人を過度に警戒してしまう傾向があります。
甘えたい気持ちはあるのに、
素直に、行動や言葉で気持ちを伝えることができず、
目を合わせられなかったり、
あえて怒らせるような行動をとったりします。
具体的に見られる特徴としては、
☑感情を表現しない
☑自己評価が低い
☑他の子どもと交流しない
☑人の言葉に傷つきやすい
☑人を避けるような行動を取る
☑落ち込みやすい など、
自閉症スペクトラム症(ASD)にも
似ていますので、判断が難しいことがあります。
②脱抑制性型愛着障害
「脱抑制性型愛着障害」は、
人に対して過度になれなれしい態度をとる傾向があります。
見知らぬ人やあまり会うことがない人に
必要以上に接触しようとします。
その一方で、
協調性がなく、他人と一緒に行動できない
などの問題が見られます。
具体的に見られる特徴としては、
☑見知らぬ人について行こうとする
☑誰にでも抱きつこうとする
☑落ち着きがない
☑過剰にわがままな行動をする
☑謝罪することができない
☑よくウソをつく
☑暴力的、衝動的なふるまい など、
注意欠如・多動症(ADHD)と
間違われやすい言動が見られます。
3 大人の愛着障害
私たちは、成長するにつれて、
「愛着=人と人との間の心理的な絆」を築く方法、
人との接し方=「愛着スタイル」を身につけていきます。
それは、
1人ひとり、独自の「愛着スタイル」です。
子どものころの「愛着障害」に気づかず、
そのまま大人になった場合、
人間関係において、困難や苦しさ、ストレスを
より大きく感じることが多く見受けられます。
現在では、
「愛着障害」は、一般的で、
大人にも見られる問題と捉えられています。
3人に1人が該当すると言われています。
つまり、2人居れば、
50%以上の確率で
愛着障害を抱えた人が含まれる可能性が
あります。
3-1 愛着スタイル
愛着スタイルは、大きく4つに分類されます。
簡潔に説明すると、、、
①安定型
感情が安定していて、人との距離が適切にとれる。
②不安型
不安が強く、依存心も強く、人との距離を近く保ちたがる。
③回避型
人への興味が薄く、人との距離を遠く保ちたがる。
④恐れ・回避型
不安が強く人の距離を近く保ちたいが、
傷つくのが怖いので人との距離を遠く保ちたがる。
①の安定型愛着スタイルを身につけた方の場合、
人間関係のトラブルや悩み事は起こりにくいですね。
「大人の愛着障害」と呼ばれるのは、
②不安型、③回避型、④恐れ・回避型の愛着スタイルを身につけた方の場合です。
②~④の愛着スタイルの方は、
安定型の人なら悩まないですむことで悩み、
人との接し方1つひとつで、悩んでしまうことが多く、
人間関係でトラブることも多く、
ストレスの多い日々を送る方が多いです。
3-2 大人の愛着障害の特徴
子どもの頃に「愛着」がうまく形成されなかったため、
「愛着」によって育まれる
①人への信頼感
②コミュニケーション能力
③積極的に生きる力 の向上に支障が出ていると考えられます。
そのため、
対人関係、情緒面、アイデンティティ(自己)の確立に問題を抱えがちです。
愛着スタイルごとに違いはありますが、共通する特徴を挙げてみましょう。
対人面の特徴
☑親との関係がよくない(敵意を持つ、逆に、過度に従順)
☑親の期待に応えられないと自分を過度に責める
☑人との適切な距離感の取り方が分からない
☑恋人やパートナー、自身の子どもをどう愛すればいいか分からない
情緒面の特徴
☑常に不安感がある
☑傷つきやすい
☑論理的かつ建設的な議論ができにくい
☑過去のネガティブな思い出にとらわれがち
☑物事を0か100かで評価してしまう
☑感情的になりやすく、頑固になりがち
アイデンティティ(自己)の確立における特徴
☑自己肯定感が低い
☑好奇心や積極的な態度に乏しい
☑物事を自分で決めることが難しい
☑自分の選択に対する満足度が低い
4 「大人の愛着障害かも」と思ったら
「愛着障害」は、幼少時の環境が原因ですから、
薬物療法や認知療法などで治していくものではありません。
「愛着障害」は「克服」するものです。
ただし、
愛着障害は、うつ病や適応障害のような症状を発生することがあります。
これを「二次的症状」といい、
繰り返し注意を受けたり、不安な経験をすることで
自己肯定感が下がったときに見られる症状です。
そのような二次的症状には、心療内科等の医療機関において
薬物療法を必要とする場合もあります。
しかし、
二次的症状に対する治療だけでは、根本的な解決には至りません。
根本にある「愛着障害を克服する」ことが必要です。
そのためには、、、
①早めに医師やカウンセラーに相談
二次的症状については、医師に相談しましょう。
「愛着障害の克服」については、カウンセリングが有効です。
②心の「安全基地」をつくる
子どもの頃に得られなかった心の「安全基地」をつくりましょう。
心の「安全基地」とは、心を落ち着かせられる環境のことです。
具体的には、
安心して休める場所、ありのままの自分で居られる場所、何でも話せる人です。
人によっては、趣味の世界が「安全基地」になることもあります。
カウンセリング自体が、心の「安全基地」になりますし、
カウンセリングによって、
心の「安全基地」をつくる方法を身につけることもできます。
③困りごとを整理する
克服するためには、正しい対策を立てることが必要です。
「自分はどんな場面で困るのか?」
「トラブルの原因な何なのか?」
整理することが大切です。
カウンセリングの時に、自分の困りごとを伝えやすくなります。
自分で整理できなくても、安心してください。
カウンセラーが一緒に整理してくれます。
④無理しない
無理に人付き合いをしようとすると、
さらに苦手意識が高まる原因になります。
無理に関わろうとせず、
最低限のやりとりで済ます方法を検討したり、
無理に話そうとせず、聞き役に徹したり、
仕事上などでは、ほどよく割り切ってお付き合いすることで、
気楽になり、うまくいく可能性もあります。
②~④を1人で行うのは、
孤独だったり、継続が難しかったり、正しいやり方がわからなかったりします。
「愛着障害」の克服のための対処を
正しいやり方で継続し、早めに克服するためにはカウンセリングが有効です。
カウンセラーが、あなたに伴走し、正しいやり方を教え、励ましてくれます。
5 大人の愛着障害のまとめ
「愛着障害」は、医学的には「子どもの障害」ですが、
大人になってから悩む人も、たくさんいます。
「愛着障害」を原動力に、人生で成功を収めた人も多いです。
「愛着障害」は、適切に対処することで克服へ近づくことができます。
二次的な症状は、医療機関に相談しましょう。
根本的な「愛着障害の克服」には、カウンセリングが有効です。
「人生好転!プライオリティカウンセリング」では、
ご自分の個性(強み)を活かして、
人生のプライオリティ(優先順位)を明確にし、
あなたが、あなたらしく、
日々を楽しみながら生きられることを目指し、
サポートいたします。
「人との関係を築くことが苦手なあなたへ~愛着障害をカウンセラーが解説~vol.6」へのコメント
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