人との関係を築くことが苦手なあなたへ~愛着障害をカウンセラーが解説~vol.6

人生好転!プライオリティカウンセリング」の坂梨禾森(さかなし かりん)です。

人との関係を築くことが苦手だなぁと悩む方
もしかしたら、それは、
「愛着障害」のせいかもしれません。
今回は、「愛着障害」について解説します。

1 愛着障害とは

自分が「愛着障害」かもしれないと聞くと、
辛いと思われるかもしれませんが、
安心してください。
かつては、「子どもに見られる症状」と
されていましたが、
大人になってから悩んでいる方も、
たくさん
いらっしゃいます。

でも、心配しないでください。
克服するための対処法はあります

そして、実は、
芸術家や政治家、ビジネスの領域など
さまざまな分野で、
偉大な業績を残した人の中には、
愛着障害を抱え、
それを乗り越えてきたという例が
少なくありません。
愛着障害を自分の個性として理解し、
対処法を学べば、
生きる原動力にもなり得る
のです。

1-1 愛着とは

愛着とは、
「人と人との間の心理的な絆」です。

生まれてすぐの子どもは、
1人では生きていけません。
身の周りの世話をして育ててくれる人
=「養育者」がいることで生き延びます。
特定の養育者に、
適切な世話をしてもらうことで、
子どもはその養育者との間に
「愛着」を感じる
ようになります。

乳幼児期に育まれた「愛着の絆」は、
人生を通して、
人への信頼感や

心理的な安心感を得るための土台
となります。

1-2 愛着の役割

「愛着」は、子どもの成長に、
大きな役割を果たします。
大きく3つの役割があります。

①人への信頼感を芽生えさせる

子どもは、「愛着」を築いた養育者に、
甘え、依存するようになります。
養育者に甘える → 受け入れられる
というやりとりの繰り返しを通して、
人と関わる楽しさや喜びを体験し、
人への信頼感が芽生えます

②コミュニケーション能力を向上させる

「愛着」を形成した相手に対して、
自分の要求を伝える、
相手の要求を受け入れる
ことを
通して、子どもは、
自己表現・コミュニケーションの
楽しさや難しさを知ります。

それは、
自己表現力・コミュニケーション能力の向上に繋がります。

③積極的に生きる力を向上させる

子どもは、成長するにしたがって
自分の世界を広げていきます。
そのときに必要なのが「安全基地」です。
「安全基地」とは、
見知らぬ世界に出るとき、
不安や危険を感じたときに戻る拠り所
です。
子どもは、「愛着」を形成した養育者を
「安全基地」として、
不安や危険を感じたら、そこに戻り、
安心と安全を感じては、再び、
自分の世界を広げていきます。

このような探索と避難を繰り返し、
子どもは、
好奇心や積極性、
ストレスに耐える力、

生きる力を身につけていきます。

1-3 愛着障害とは

「愛着障害」とは、
特定の養育者との心理的絆=「愛着」が、
何らかの理由で作られず、
子どもの情緒や対人関係に問題が生じる状態
のことを表します。

愛着障害の原因

子どもが愛着障害になる原因は、
養育者とのコミュニケーションの行き違いや
心身に負担のかかる環境で育つこと

挙げられます。
 ☑両親の離婚
 ☑養育者との死別、別離
 ☑養育者の頻繁な交替
 ☑養育者のネグレクト、無関心
 ☑虐待・体罰・厳しすぎるしつけ
 ☑きょうだいとの差別、極端な比較
 ☑褒められる体験の欠如

虐待やネグレクトは勿論、
過保護も原因となります。
子どもが求めるときに
適切にこたえてあげることが
養育者には求められます

かつては、特殊で悲惨な家庭環境のためと
考えられていましたが、
今では、ごく一般的な家庭であっても、
起こりうる問題

であると認識されています。

2 子どもの愛着障害

子どもの愛着障害は、5歳までに発症し、
「反応性愛着障害」と「脱抑制性型愛着障害」に分類されます。
発達障害と間違われることもあります。

共通してみられる特徴は、
 ☑自傷行為(髪を抜く、爪を噛む)
 ☑他害行為
 ☑大人を試すような言動
 ☑睡眠不足
 ☑食事をしっかり食べない
 ☑理由なしにウソをつく
 ☑体調不良になりがち などです。

①反応性愛着障害

「反応性愛着障害」の場合、
他人を過度に警戒してしまう傾向があります。
甘えたい気持ちはあるのに、
素直に、行動や言葉で気持ちを伝えることができず

目を合わせられなかったり、
あえて怒らせるような行動をとったりします。

具体的に見られる特徴としては、
 ☑感情を表現しない
 ☑自己評価が低い
 ☑他の子どもと交流しない
 ☑人の言葉に傷つきやすい
 ☑人を避けるような行動を取る
 ☑落ち込みやすい など、
自閉症スペクトラム症(ASD)にも
似ていますので、判断が難しいことがあります。

②脱抑制性型愛着障害

「脱抑制性型愛着障害」は、
人に対して過度になれなれしい態度をとる傾向があります。
見知らぬ人やあまり会うことがない人に
必要以上に接触しようとします。
その一方で、
協調性がなく、他人と一緒に行動できない
などの問題が見られます。

具体的に見られる特徴としては、
 ☑見知らぬ人について行こうとする
 ☑誰にでも抱きつこうとする
 ☑落ち着きがない
 ☑過剰にわがままな行動をする
 ☑謝罪することができない
 ☑よくウソをつく
 ☑暴力的、衝動的なふるまい など、
注意欠如・多動症(ADHD)と
間違われやすい言動が見られます。

3 大人の愛着障害

私たちは、成長するにつれて、
「愛着=人と人との間の心理的な絆」を築く方法、
人との接し方=「愛着スタイル」を身につけていきます。
それは、
1人ひとり、独自の「愛着スタイル」です。

子どものころの「愛着障害」に気づかず、
そのまま大人になった場合、
人間関係において、困難や苦しさ、ストレスを
より大きく感じることが多く見受けられます

現在では、
「愛着障害」は、一般的で、
大人にも見られる問題
と捉えられています。
3人に1人が該当すると言われています。
つまり、2人居れば、
50%以上の確率で
愛着障害を抱えた人が含まれる可能性が
あります。

3-1 愛着スタイル

愛着スタイルは、大きく4つに分類されます。
簡潔に説明すると、、、

①安定型

感情が安定していて、人との距離が適切にとれる。

②不安型

不安が強く、依存心も強く、人との距離を近く保ちたがる。

③回避型

人への興味が薄く、人との距離を遠く保ちたがる。

④恐れ・回避型

不安が強く人の距離を近く保ちたいが、
傷つくのが怖いので人との距離を遠く保ちたがる。

①の安定型愛着スタイルを身につけた方の場合、
人間関係のトラブルや悩み事は起こりにくいですね。
「大人の愛着障害」と呼ばれるのは、
②不安型、③回避型、④恐れ・回避型の愛着スタイルを身につけた方の場合です。
②~④の愛着スタイルの方は、
安定型の人なら悩まないですむことで悩み、
人との接し方1つひとつで、悩んでしまうことが多く、
人間関係でトラブることも多く、
ストレスの多い日々を送る方が多い
です。

3-2 大人の愛着障害の特徴

子どもの頃に「愛着」がうまく形成されなかったため、
「愛着」によって育まれる
 ①人への信頼感
 ②コミュニケーション能力
 ③積極的に生きる力 の向上に支障が出ている
と考えられます。

そのため、
対人関係、情緒面、アイデンティティ(自己)の確立に問題を抱えがちです。
愛着スタイルごとに違いはありますが、共通する特徴を挙げてみましょう。

対人面の特徴

☑親との関係がよくない(敵意を持つ、逆に、過度に従順)
☑親の期待に応えられないと自分を過度に責める
☑人との適切な距離感の取り方が分からない
☑恋人やパートナー、自身の子どもをどう愛すればいいか分からない

情緒面の特徴

☑常に不安感がある
☑傷つきやすい
☑論理的かつ建設的な議論ができにくい
☑過去のネガティブな思い出にとらわれがち
☑物事を0か100かで評価してしまう
☑感情的になりやすく、頑固になりがち

アイデンティティ(自己)の確立における特徴

☑自己肯定感が低い
☑好奇心や積極的な態度に乏しい
☑物事を自分で決めることが難しい
☑自分の選択に対する満足度が低い

4 「大人の愛着障害かも」と思ったら

「愛着障害」は、幼少時の環境が原因ですから、
薬物療法や認知療法などで治していくものではありません。
「愛着障害」は「克服」するものです。

ただし、
愛着障害は、うつ病や適応障害のような症状を発生することがあります。
これを「二次的症状」といい、
繰り返し注意を受けたり、不安な経験をすることで
自己肯定感が下がったときに見られる症状です。
そのような二次的症状には、心療内科等の医療機関において
薬物療法を必要とする場合もあります。

しかし、
二次的症状に対する治療だけでは、根本的な解決には至りません。
根本にある「愛着障害を克服する」ことが必要です。

そのためには、、、

①早めに医師やカウンセラーに相談

二次的症状については、医師に相談しましょう。
「愛着障害の克服」については、カウンセリングが有効です。

②心の「安全基地」をつくる

子どもの頃に得られなかった心の「安全基地」をつくりましょう。
心の「安全基地」とは、心を落ち着かせられる環境のことです。
具体的には、
安心して休める場所、ありのままの自分で居られる場所、何でも話せる人です。
人によっては、趣味の世界が「安全基地」になることもあります。
カウンセリング自体が、心の「安全基地」になりますし、
カウンセリングによって、
心の「安全基地」をつくる方法を身につけることもできます

③困りごとを整理する

克服するためには、正しい対策を立てることが必要です。
「自分はどんな場面で困るのか?」
「トラブルの原因な何なのか?」
整理することが大切です。
カウンセリングの時に、自分の困りごとを伝えやすくなります。
自分で整理できなくても、安心してください。
カウンセラーが一緒に整理してくれます。

④無理しない

無理に人付き合いをしようとすると、
さらに苦手意識が高まる原因になります。

無理に関わろうとせず、
最低限のやりとりで済ます方法を検討したり、
無理に話そうとせず、聞き役に徹したり、
仕事上などでは、ほどよく割り切ってお付き合いすることで、
気楽になり、うまくいく可能性もあります。

②~④を1人で行うのは、
孤独だったり、継続が難しかったり、正しいやり方がわからなかったりします。

「愛着障害」の克服のための対処を
正しいやり方で継続し、早めに克服するためにはカウンセリングが有効です。
カウンセラーが、あなたに伴走し、正しいやり方を教え、励ましてくれます。

5 大人の愛着障害のまとめ

「愛着障害」は、医学的には「子どもの障害」ですが、
大人になってから悩む人も、たくさんいます。
「愛着障害」を原動力に、人生で成功を収めた人も多いです。
「愛着障害」は、適切に対処することで克服へ近づくことができます。
二次的な症状は、医療機関に相談しましょう。
根本的な「愛着障害の克服」には、カウンセリングが有効です。

「人生好転!プライオリティカウンセリング」では、
ご自分の個性(強み)を活かして、
人生のプライオリティ(優先順位)を明確にし、
あなたが、あなたらしく、
日々を楽しみながら生きられることを目指し、
サポートいたします。

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