アダルトチルドレンの生きづらさを抱えているあなたへ~カウンセラーが解説vol.10

「なんだか生きづらい・・・・・・」
「他の人と自分は違うんだろうか・・・・・・」
「大人になりきれていないのかな・・・・・・」

お悩みのあなたへ

その原因は、「アダルトチルドレン」かもしれません。


1 アダルトチルドレンとは

アダルトチルドレン = 大人子ども?
アダルトチルドレン = 大人になりきれていない子どもっぽい人?

違います!

アダルトチルドレン(Adult Children : AC)とは、
「子ども時代に親や養育者との関係の中で、心に傷を負い、大人になった人々」のことです。
つまり、
「子どもの頃の家庭での経験を引きずり、
 現在、生きる上で支障があると思われる人たち」
のことです。

常に生きづらさを感じながら、
その原因が自分でもよく分からないことが多く、
そのせいで心身に不調が出てしまう
場合があります。

医学的な診断名ではありませんが、
生きづらさを抱えている方が、
自分の育ってきた環境、親や家族との関係を振り返り、
自分自身を理解するための1つの視点と捉えることができます。
また、自分の家庭の在り方を考える視点ともなります。



1-1 ACoA (Adult Children of Alcoholics)

ACの概念は、1970年代にアメリカで提唱され始めました。
アルコール依存症の親を持つ子どもたち(Adult Children of Alcoholics)が
大人になったとき、
生きづらさを抱えることが多いことがわかってきたのです。

現在では、解釈が広がり、
アルコール依存症の親だけでなく、様々な依存症やその他の要因による
「機能不全家族」の中で育ち、心に傷を負ったことで
生きづらさを抱えている人たちのことを指します。


1-2 機能不全家族とは

本来、安全で安心できる「安全基地」となるはずの家族が、
何らかの要因で、その機能を十分果たせない状態になっていることを
「機能不全家族」
と言います。

例えば、
 ☑親や養育者に依存症がある
 ☑虐待
 ☑ネグレクト(育児放棄)
 【医療・教育を受けさせない、子どもの金銭を搾取する】
 ☑家族間の不仲・対立
 ☑貧困
 ☑子どもに対する過剰な期待・過干渉

などが要因として挙げられます。

家族とは、お互いを尊重し、励まし合い、協力し合っていくものですが、
もしも、あなたが育った家庭に
 ☑厳しいルールがある
 ☑家族の役割が固定されている
 ☑家族以外には言えない秘密がある
 ☑他人が入り込むことを嫌がる
 ☑生真面目でユーモアがない
 ☑家族間でプライバシーがない
 ☑家族から離れることが許されない
 ☑家族内の問題は無視される、解決しようとしない
 ☑変化を嫌がる
 ☑家族に一体感がない

以上の項目に当てはまることが多いなら、それは「機能不全家族」だったかもしれません。

1-3 アダルトチルドレンの家庭での役割

「機能不全家族」の中で、子どもは自分を守り、生き抜くために
無意識に求められる役割を演じる
ようになります。
しかし、そこで身につけた行動スタイルは、
「機能不全家族」を生き抜くために必要であっても、
通常の人間関係や社会の中では、不適切
と思われることが多いのです。

以下に、その役割の典型的なものをいくつかご紹介します。

①ヒーロー(英雄)
親の期待に応えようと何事にも頑張り、
周りからは頑張り屋さんの良い子と評価されます。
しかし、それは自分のためではなく、
家庭の雰囲気を悪くしないようにという防衛的な行動です。
成果が出ているうちは良いのですが、
失敗したり挫折したりすると心が折れてしまいます。

②スケープゴート(生贄)
ヒーローとは真逆で、
問題行動を起こしたり、
わざと低い評価を受けるようにしたり、
家族の中の問題児となることで、
憎しみや怒り、家族の鬱憤を1人で引き受け、
家族内のバランスを取ろうとします。

③ロスト・ワン(いない子)
家族の中で存在感を消し、
気配を感じさせずに生きていこうとします。
いない者として扱われ、いつも1人で孤独に過ごすことで、
平穏を得ようとします。

④ケアテイカー(世話役)
幼い頃から家事をしたり、弟妹の面倒を見たり、
献身的に家族の世話をし、家庭を支えます。
親がしない分を補って、
家族が崩壊しないよう、全てを一身に背負って
家庭が保てるよう、努力しています。

⑤クラウン・ピエロ(道化役)
家族の暗い雰囲気を何とかしようと、おどけたり、
冗談を言ったりして笑わせ、
家庭を明るくしようとします。
明るい性格で悩みがないように見られがちですが、
実は、周囲の反応に敏感で、
内心では常にビクビクしています。

1-4 アダルトチルドレンの特徴

☑自分の考えや行動が「これでいい」との確信が持てない
☑物事を最初から最後までやり遂げることが難しい
☑本当のことを言った方が楽なときでもウソをつく
☑自分に情け容赦なく批判を下す
☑楽しむことがなかなかできない
☑まじめすぎる
☑親密な関係を持つことが大変難しい
☑自分にはコントロールできないと思われる変化に過剰反応する
☑常に、他人からの肯定や受容を求めている
☑自分は、人とは違うといつも感じている
☑常に責任を取り過ぎるか、責任を取らなさすぎるかである
☑過剰に忠実
☑衝動的である。他の行動が可能であると考えずに1つのことに自らを閉じ込める

当てはまるものは、ありましたか?

アダルトチルドレンの様子は、個々人によって様々ですが、
共通するのは、自己評価の低さです。

親の期待に添うような生き方に縛られ、
自分自身の感情を感じられなくなってしまったり、
誰かのために生きるのが生きがいになってしまったり、
良い子を続けられない罪悪感を感じたり、
居場所のない孤独感に苦しんだり
しています。

また、「自分なしでは生きられないような無力な人物」のお世話をすることに
充実感を覚えてしまう
方も多く、
これを「共依存」といいます。

もしも、あなたに当てはまることがあるなら、
アダルトチルドレンかもしれません。

アダルトチルドレンは、親から子へ、子から孫へと
世代間で連鎖していきます。
もし、あなたがアダルトチルドレンの生きづらさを感じているなら、
この連鎖を断ち切りましょう!

2 アダルトチルドレンの克服法


アダルトチルドレンは医学的な診断名ではありませんが、
心身の不調や社会生活に支障を来している場合には、
医療などによるサポートが必要になることもあります。

しかし、アダルトチルドレンは、
「機能不全家族」の中で育ち、心に傷を負ったことで
現在の生きづらさや人格形成に影響していると感じている状態を指します。
程度の差はあれ、アダルトチルドレン的な部分を持つ人は
案外多く
見受けられます。
「自分はアダルトチルドレンだ」と問題視するのではなく、
「自分は○○な傾向がある」と気づき、
それが生きづらさの原因になっているなら、対処していけば良いのです。

1人で抱え込まないことが何より大切です。
当事者の会等で
同じ生きづらさを抱える人たちと出会い、
自分の体験を話すことも、
辛さの軽減に繋がることもあります。

もちろん、カウンセリングも有効です。

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