【教員】「またこの学校で1年…」移動できない絶望感と心の守り方vol.104

職員室の空気がざわつく中、校長室に呼ばれる同僚たち。
一人、また一人と「異動の内示」を受けていく中で、
自分の名前が呼ばれないまま時間が過ぎていく。

「まさか、来年もこの学校に残るの?」
「あの人間関係の中で、あと1年も耐えろと言うの?」

目の前が真っ暗になるような感覚。
希望を出していたのに異動が叶わなかった先生にとって、
この時期は「春の訪れ」ではなく
「出口のないトンネル」の入り口に感じるかもしれません。

元教員・元教頭の産業カウンセラー、坂梨禾森(さかなし かりん)です。

今日は、異動が叶わず「残留」が決まった(あるいはその可能性が高い)先生へ向けて書きます。
その絶望感は、決してあなた一人のわがままではありません。
元管理職としての視点も交えながら、
心を壊さずに新年度を迎えるための「守り方」をお話しします。

他の悩みをお持ちの先生へ

この記事では「環境が変わらない苦しさ」について書いています。
もしあなたの状況が少し違うなら、以下の記事を参考にしてください。

▼ 逆に「異動が決まったけれど、自信がない」という先生へ
【教員辞めたい】異動の不安と自信喪失を乗り越える心の整え方

▼ 「残留したのは自分のミスのせいだ」と自分を責めてしまう先生へ
教員】異動できず「自分は必要ない人間だ」と落ち込むあなたへ

なぜ「同じ環境」に留まることが、これほど苦しいのか

まずは、
あなたが今 感じている「苦しさ」の正体を認めましょう。
「たかが職場が変わらないだけ」と
自分を責めないでください。
教員にとって、
学校という閉鎖的な空間に留まり続けることは、
想像以上のストレスです。

・人間関係の固定化:
苦手な同僚や管理職と、
また顔を合わせなければならない恐怖。

・「キャラ」の固定:
生徒や保護者から貼られたレッテル(厳しい先生、優しい先生など)を剥がすチャンスがない。

・終わりの見えない業務量:
新しい風が入らず、前年度の踏襲が続くことへの閉塞感。

これらが「あと1年(あるいは数年)続く」と確定した瞬間、
心はポキリと折れてしまいます。
心理学では「学習性無力感」と言います。
「何をしても環境は変わらない」と学習してしまうと、
人は抵抗する気力を失い、うつ状態になりやすくなります。

文部科学省のデータを見ても、
教員の精神疾患による休職者数は依然として高水準です。
その背景には、こうした「逃げ場のない閉塞感」も大きく関係しているのです。

参考データ:
文部科学省:公立学校教職員の人事行政状況調査(外部サイト)

あなたが今感じている「行きたくない」という感情は、
心が発している正常なSOSサインなのです。

「残留=見捨てられた」ではない。元管理職が明かす人事の裏側

ここで少し視点を変えて、
元教頭として「人事の裏側」をこっそりお伝えします。
異動希望が通らなかった時、多くの先生はこう思います。
「自分は組織に大切にされていない」
「どうでもいい駒だと思われているんだ」

しかし、実際はその逆であることが多いのです。
管理職が人事を組む際、
どうしても動かせない「要(かなめ)」となる人材がいます。

「この学年は、〇〇先生がいないと崩壊してしまう」

「新しい若手を育てるには、〇〇先生の安定感が必要だ」

「困難な保護者対応ができるのは、
今の学校ではあなたしかいない」

残酷な言い方かもしれませんが、
あなたが「優秀で、代えがきかない」からこそ、
異動させられなかった可能性が高いのです。
パズルのピースとして、どうしてもそこに必要だったのです。

もちろん、
だからといってあなたの苦しみが癒えるわけではありません。
ただ、
「能力が低いから無視された」という自己否定だけは、
今すぐ捨ててください。
あなたは、組織にとって
手放せないほど価値ある存在なのです。

環境が変わらないなら「自分の関わり方」だけを変える

物理的な環境(学校)は変えられませんでした。
ならば、あなたの心を守るために、
新年度は「心理的な環境(関わり方)」
意識的に変えていきましょう。

真面目な先生ほど、
「今年も残るからには、去年以上に頑張らねば」と
背負い込みますが、
それは逆効果です。
今年は「省エネモード」を自分に許可してください。

具体的なアクションプランは以下の3つです。

・「6割運転」を目標にする
常に全力投球ではなく、及第点を目指しましょう。
「倒れないこと」が最大の貢献です。

・「役割」に徹する(ドライな関係)
苦手な同僚とは、
心のシャッターを下ろして事務的に接します。
「この人は職場の隣人A」と割り切り、
感情を交えない練習をしましょう。

・「いつでも辞められる」準備をする
実際に辞めるかどうかは別として、
転職サイトに登録したり、
資格の勉強を始めたりしてみてください。
「ここにしがみつかなくても生きていける」という
選択肢を持つだけで、
心の窒息感は驚くほど軽くなります。

職員室では絶対に言えない「残留の愚痴」を吐き出す

残留が決まった先生の悩みは、実はとても孤独です。

異動していく先生には「寂しい」とは言えても、
「羨ましい(私も行きたかった)」とは言いにくいもの。
また、自分と同じように残留した先生同士でも、
「残れてよかったね」という空気に合わせなければならず、
本音の絶望感は口に出せません。

こうして行き場を失った感情は、
澱(おり)のように心に溜まり、やがて心身を蝕みます。
だからこそ、
「学校とは全く関係のない第三者」を頼ってください。

カウンセリングの場では、
どんなにドロドロした感情も、組織への恨みつらみも、
すべて吐き出して構いません。
元教頭である私なら、
人事の理不尽さも、
その中でのたうち回るような苦しさも、
痛いほど理解できます。
決して綺麗事は言いません。

壊れてしまう前に、逃げ場所を確保する

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

「またこの学校で1年」 その事実は変わりませんが、
その1年をどう過ごすか、あなたの心の持ちようまで組織に支配される必要はありません。

まずは、
ショックを受けているご自身の心をケアし、「よく耐えているね」と労ってあげてください。
そして、どうしても辛くなった時は、
一人で抱え込まずにカウンセラーを頼ってください。

新年度が始まる前の今こそ、心のデトックスが必要です。

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※人事発表直後はの緊急相談が増えがちです。
 少しでもお話ししたい方は、お早めにご予約ください。

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